東日本大震災 「被災犬」里親へ 麻布大獣医学部、社会貢献兼ね実習

毎日新聞からです。

http://mainichi.jp/articles/20151211/dde/012/070/009000c

東日本大震災 「被災犬」里親へ 麻布大獣医学部、社会貢献兼ね実習



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里親の神崎迪子さん(左)に抱かれるコメに、名残惜しそうに笑顔で別れを告げる獣医学部の学生たち=麻布大獣医学部で


11月下旬、福島県郡山市・いわき市の保護センター施設で保護されていた「被災犬」が、麻布大学(相模原市)の学生の手によって、新しい家族のもとに引き渡された。同大の社会貢献を兼ねた実習の一環だ。大震災からもうすぐ5年。どのような取り組みか取材した。【成蹊大・林杏香、写真は聖心女子大・高井里佳子】


福島で保護、ストレス高く

 麻布大獣医学部動物応用科学科は、動物保護センターに遺棄された殺処分対象の犬を毎年6~7頭引き取り、学生が約半年間かけてトレーニングをした後「里親」を探し、引き渡す。「犬を知り、犬を通しての社会貢献」を目的とした「応用動物心理学実習」だ。


 3年次から選択が可能な科目で、前期と後期の通年で受講することで単位として認定される。2009年に開始され今までに50頭以上の犬を里親に送り出した。当初は大学近くの神奈川県動物保護センターから受け入れをしていたが、11年3月に発生した東日本大震災を受け、同年5月から被災地である福島県郡山市・いわき市の保護センターに変更。被災により飼い主を失った「被災犬」を引き取った。


 実習は通常、年間1度の実施だが、震災から2年間はトレーニング期間を短縮し、より多くの犬を救うため2度実施した。11年に引き取った被災犬は他の地域から引き取った犬と比べ、ストレス度を表すコルチゾール値が長い期間高い数値を示した。指導をする茂木一孝准教授は「これは犬にもPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状が現れたと考えられる。被災地で犬が大きなストレスを受けていたということが科学的に実証されるデータとなった」と語る。


 茂木准教授は「現在は、被災して取り残されている犬は少なくなった。だが、仮設住宅という環境の変化で犬との生活が難しくなった事例や、被災後から保護された犬の殺処分を減らしている福島県に他県から犬を捨てにきたと考えられるような事例もあると聞いている。被災したレベルは定かではないが、苦しんでいる犬が多くいるのが現状。まだまだ震災は終わっていない」と神妙に話した。


 学生からは「かなり大変だけど、その分やりがいがあると先輩から聞いたからこの実習を履修した」という声が多かった。4月は、実習に必要となる爪の切り方やブラッシング、犬のストレス度をチェックするための採尿方法など基本的な講義を受ける。講義が終わると、翌月からは犬が大学に搬送され、本格的な実習が始まる。1頭につき7~8人で担当し、今年度は6頭受け入れた。


 保護センターからきた犬は病歴が不明な場合には、人に感染するような病原菌を持っている可能性がある。検査の結果が出るまでは、長袖長ズボン、マスクや手袋を二重で装着するなどして、細心の注意を払った。


 担当した犬の世話は休み期間、試験期間関係なく、すべて実習生によって行われる。朝、昼、夕と1日に必ず3回、散歩、食事、健康チェック、ふれあいを班員が交代で行う。散歩の長さや様子、便の状態、気になったことを毎回細かくノートに記録し情報を共有してきた。

愛情あるケア、人への信頼回復

 週に1度の班会議では「おすわり」などのドッグトレーニングについて犬それぞれの性格に合ったやり方を模索。混乱することを避けるため教え方の統一も心掛けた。記者が取材した班の犬の名前は「コメ」。推定10歳でオスのスピッツだ。他の班ではつらい経験からか触れると威嚇をしたり、犬同士だとほえて交流できない犬もいるなか、コメは人懐っこく、大きなトラブルはなかったという。


 そんなコメも初めのうちはごはんを食べなかった。ドッグフードをふやかしたり、白米を混ぜたりするなど試してみたが効果はなく、翌日には吐いてしまうこともしばしば。班員で理由を考え、原因はごはんに混ぜた薬だとつき止めた。薬を除くと食欲も戻り、一安心だったという。


 「私たちは5班(ごはん)。色も白いからコメと名付けた。単純」と笑い、コメを触りながら話す同大の伊藤礼弥さん(3年)。伊藤さんの言葉を聞き、コメを見ながら笑う班員。班員に囲まれ、うれしそうな表情や真っ白でつややかな毛並みから班員とコメの愛を感じた。


 取材した日はコメを里親へ引き渡す日。里親を希望する人に大学まで来てもらい、面談をして犬との相性を確認してから決定する。コメの新しい家族は2歳の男の子がいる千葉県の神崎聡さん一家。もともと保護犬を里親に渡すボランティアをしていた妻迪子(みちこ)さんは、子育てが一段落した今、再び保護犬を助けようと里親募集を検索していくうちに、麻布大学のホームページを見つけたという。


 迪子さんは「みんなつらい経験をしたはずなのに、ここにいる犬は人を信頼する表情をしていて、本当に良いケアをされたんだなと感じる。これからちょっとずつお互いに、なれていけたら」と話す。


 コメは、この日のために神崎さんが準備した「COME」と入った首輪をつけ、大学を後にした。車が動き出しても班員たちは、自分たちを見つめ続けるコメに車が見えなくなるまで手を振り続けていた。「コメは高齢だから、引き取りを希望する人がきたと聞いた時は本当にうれしかった。神崎さんと会って、この人なら安心だと思ってホッとした。寂しさよりはうれしさの方が何倍も大きい」と班員は口をそろえた。


 傍らで実習を見守ってきた茂木准教授は、めまぐるしく変化する犬や実習生の姿が興味深かったと振り返りながら「この実習に答えはない。個性がある生身の犬を使った実習だからこそ、自らの力でその時々に応じて答えを出していく力がつく」と力を込めた。すべての犬の里親が決定すると、班ごとに犬のホルモンや性格の変化をデータに基づき発表し、この実習は終了する。


 記者も犬を飼っている。取材を通じて犬との関係を今一度考えるようになった。


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