高齢者に犬を飼わせたい業界の思惑 「規制強化で大量遺棄」

朝日新聞sippoからです。

http://sippolife.jp/column/2015113000001.html



いのちへの想像力 「家族」のことを考えよう


太田匡彦・sippo|更新|2015/11/30

第12回 高齢者に犬を飼わせたい業界の思惑 「規制強化で大量遺棄」


飼い主から飼育放棄された犬たち。大型犬は新たな飼い主を見つけるのが難しい。高齢者が飼うのに向かないことは、言うまでもない=鹿児島県姶良動物管理所
飼い主から飼育放棄された犬たち。大型犬は新たな飼い主を見つけるのが難しい。高齢者が飼うのに向かないことは、言うまでもない=鹿児島県姶良動物管理所

 東京都千代田区で11月15日、ペット関連業界の11団体が作る「ペットとの共生推進協議会」が主催するシンポジウムが開かれた。

 パネルディスカッションで司会を務めたペットフード協会の越村義雄名誉会長が「日本の個人金融資産のうち半分は?歳以上が保有している」「(犬の)飼育頭数減少に歯止めをかけないと」と発言するなど、高齢者にいかに犬を飼わせるか、という方向に議論が盛り上がった。そして閉会のあいさつで、ジャパンケネルクラブ(JKC)の永村武美理事長はこう述べた。「団体関連の従事者が60万人、70万人とも推計されている。これらの人間の生活もかかっている」

 ペットフード協会の推計によると、確かに2010年代に入って犬の飼育頭数は右肩下がりだ。JKCによる犬籍登録数も減り続けている。業界団体として危機感を持つのは当然だろう。だがその延長線上で、高齢者が犬を飼うことをことさらに推奨することが、社会的に許容されるだろうか。

 そもそも、高齢者による犬猫の飼育放棄が全国的に問題になっていることは、11月29日付の朝日新聞朝刊 で取り上げた通りだ。高齢者による犬の飼育放棄問題について学会発表などを行っているNPO法人「人と動物の共生センター」の理事長を務める奥田順之獣医師もこう話す。

「30代以下やほかの理由による飼育放棄が減少傾向にあるなかで、60代以上の高齢者による飼育放棄は増加傾向にある。高齢者にも様々な事情があるのでしょうが、行政や動物愛護団体への負担を減らし、殺処分問題を解決していくために、対策が必要です」

 65歳以上の高齢者が子犬、子猫を飼い始めれば、75歳手前くらいでほぼ確実に飼い主の変更(オーナーチェンジ)が必要となる。そのとき犬や猫は10歳前後。犬猫もシニア期に入っており、獣医療費がかさみ始める時期だ。新たな飼い主を見つけることは容易ではない。さらには特に犬にとって、オーナーチェンジが、精神疾患を発症する可能性があるほど心的負担が大きいことは、東大大学院獣医動物行動学研究室の武内ゆかり准教授が指摘する通りだ。

 一方で昨年、各地で相次いだ犬猫等販売業者によるとみられる大量遺棄事件は、いまだほとんどが解決されていない。栃木県では最近も、業者が繁殖に使ったと考えられる状態の小型犬の遺棄が断続的に続いている。いみじくも前出の永村氏は、同じあいさつの中でこうも述べていた。

「急激に規制強化が行われると、(犬の)大量遺棄、廃棄ということが必然的に起こってくる。ブリーディングができなくなっても、それを保健所で引き取ってもらえなくなった。どうしたらいいのか、もう知恵の出しどころがなくて、大量廃棄、遺棄をするということになる」

 永村氏といえば元農水官僚で、いまや日本最大の血統書発行団体のトップだ。その永村氏が、13年9月に施行された改正動物愛護法で、犬猫等販売業者からの引き取りを各自治体が拒否できるようになったことを指摘し、だから大量遺棄事件が起きたのだと言う。

 だがそもそも、不要になった犬を各自治体に引き取らせることを前提として、犬猫等販売業者がビジネスを行っている現状に問題があるはずだ。そのビジネスモデルを温存したまま、業界は、高齢者に犬を飼わせる(買わせる)施策を積極的に推し進めようとしている。本来、業界団体は自浄作用を働かせるべき局面であるにもかかわらず、その機能を果たそうとしていない。

 ペット産業の発展のために、今以上に犬や猫が犠牲になることがあってはならない。一方で犬や猫の飼育が、高齢者の心身の健康に好影響を及ぼすという研究報告が多数ある。そしてもちろん、犬猫を飼いたいという高齢者の思いも尊重されなければいけない。

 そのためにも、まずは現にある社会問題の解決に道筋をつけるのが先決だろう。


関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

春ママ

Author:春ママ
ご訪問いただきありがとうございます!

福島原発避難区域の被災動物、殺処分、毛皮、動物実験、海外の動物事情など、国内外の動物の現状について情報をアップしています。

人間の都合で虐げられている動物たちのことを1人でも多くの人に知ってほしい、声を上げてほしい、そして動物達へのやさしさの輪が広がればと思います。

リンク・転載は構いませんが、その際は必ずどこからのものかわかるよう、ブログ記事URLを明記していただきますようお願いいたします。

4才児の母。今年5月、17才になる最愛のにゃんこをお空へ見送りました。春ちゃん、ずっと一緒だよ。。

メインブログはこちらです。
http://ameblo.jp/momokohime7/

最新記事
こちらもチェック♥
コラボ企画「福島をわすれない」パネル展開催スペース・企画を生かすアイデア随時募集中!
"Never Forget Fukushima" Project







ボクと遊んでニャ♪
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR