日本で捕獲され、中国の水族館へ輸送されるイルカの赤ちゃんたち

先日、和歌山県太地町のイルカ漁で、母親と引き離され連れ去られる赤ちゃんイルカについてお伝えしました。


太地町イルカ漁 お母さんから引き離される赤ちゃんイルカ



こうしたイルカたちが、中国の水族館へ輸送される様子を海外ニュースが伝えています。


The Dodo

Sad Photos Show How Wild Dolphins Are Shipped To Marine Parks


より要約、翻訳。



今回、日本から中国山東省の水族館、蓬莱海洋極地世界へ輸送されたのは、ハンドウイルカ10頭(年齢が2-4歳のメス8頭とオス2頭と報じられています)。


現地のニュースでは、イルカたちがどこで捕獲されたのかには触れられていませんが、飼育下にある海洋ほ乳類について調査するCeta Baseの担当者は、イルカたちは太地町で捕獲された可能性が極めて高いと話しています。


水族館は、イルカを研究や繁殖、教育に利用するとしていますが、こちらではイルカやアシカのショーを目玉としており、また、近くイルカとのふれあいができると発表していることから、ショーへ利用されることが主な目的と見られています。

Ceta Baseによると、この水族館は過去にも複数回太地町からイルカを購入しており、2006年に6頭、2008年に3頭、2013年に10頭入手しています。



このイルカたちが、母親など家族が殺されるところを目撃したかどうかはわかりませんが、これまでの過程で多くのストレス、トラウマを抱えてきたことは容易に想像できます。


恐怖に満ちた捕獲を経験し、家族と引き離され、海から上げられ、乾いたスリングに乗せられて輸送されるイルカたち。



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人民日報


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多くの人間に取り囲まれ触られ、人工的な照明に照らされ、写真を撮られ、飛行機の騒音の中見知らぬ場所に運ばれ、狭いプールに入れられ訓練されるイルカたちのストレスは、計り知れません。


海洋ほ乳類学者のナオミ・ローズ氏は、何頭かのイルカには皮膚に傷が見られることから大人の可能性もあり、移送先の水族館に適応できるか懸念されると話しています。


またPETAの野生動物専門の獣医師、へザー・ラリー氏も、「施設へ移送後50日間は死亡するリスクが最も高く、その期間を生き延びたとしても、その後は狭いコンクリートの水槽に閉じ込められ、彼らにとって自然であり大切なことをすべて制限された生活が続く。輸送と水族館の環境は、イルカたちの健康に深刻なリスクをもたらす」としています。



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中国新聞網



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sdnews



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人民日報




★日本語の記事はこちら


ハンドウイルカ10頭が専用機で山東省煙台市に到着



韓国では、日本から輸入されたイルカが相次いで死んだことが問題となっています。


またイルカが1頭死亡…「水族館はイルカの墓地か」(韓国)



世界的にシャチの繁殖やショーへの利用を廃止する動きが広がる中、近年動物園・水族館の建設ラッシュである中国では、先月末に珠海市の水族館内に国内初となるシャチの繁殖施設もオープンしました。


QUARTZより。

As countries move to ban orca captivity, China opens its first killer-whale breeding center


この施設では、5才~13才のシャチ(オス5頭、メス4頭)が飼育されています。


香港のイルカの保護団体は、飼育下にあるシャチの寿命は野生のシャチと比べて短いこと、そして施設を開設した国内最大級のテーマパーク運営会社「チムロングループ」のこうしたプログラムが、中国における水族館産業を活性化する可能性があるとして、懸念を示しています。



breeding killer whales

New China TV



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水族館サイト




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またイルカが1頭死亡…「水族館はイルカの墓地か」(韓国)

ハンギョレ新聞からです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170308-00026721-hankyoreh-kr


またイルカが1頭死亡…「水族館はイルカの墓地か」

3/8(水) 6:25配信


1月28日、巨済シーワールドのイルカ 韓国では27年間で52頭のイルカが斃死 平均4年で死に至っている


 またイルカが一頭死んだ。

 7日、韓国環境運動連合は「慶尚南道巨済(コジェ)シーワールド水族館で1月28日、バンドウイルカが斃死したことを確認した」と明らかにした。今年に入って2回目に知らされたイルカの死亡だ。先月13日、蔚山(ウルサン)南区庁が運営する長生浦(チャンセンポ)クジラ生態体験館でもバンドウイルカ一頭が日本から輸入されて5日後に死亡した。

 環境運動連合はこの日ソウル鍾路区の環境運動連合事務室で「大韓民国はイルカの墓なのか―今年に入って2頭目のイルカの死」記者会見を開き、遅れて確認された巨済シーワールドのイルカ死亡を知らせた後、国内8カ所の水族館のイルカ斃死記録を分析して発表した。

 巨済シーワールドのバンドウイルカの場合、日本から輸入されて韓国に来て3年8カ月で命を失った。慶尚南道巨済市が把握したこのイルカの公式の死因は「咽喉部膿瘍による敗血症」だ。チョ・ミンヨン統営(トンヨン)・巨済環境運動連合事務局長は「これは表面的な死因に過ぎない」とし、「イルカショー訓練のストレスと劣悪な環境に耐えきれず死に至った」と主張した。

 この日環境運動連合が分析して公開した資料によると、1990年からの28年間に、イルカショーと水族館展示のために国内の水族館8カ所に輸入されたイルカ98頭のうち、52頭が斃死した。これらは国内の水族館に入った後、平均1483日(4年23日)間生きて死んだ。ほとんどが生後1年以内のイルカが韓国の水族館に売られてきている現実に照らしてみると、5、6歳を超えずに死に至ったわけだ。海にいる野生のイルカの平均寿命は30年程度と知られている。

 今回イルカの斃死が明らかになった巨済シーワールドの場合、2015年から持ち込んだ20頭のイルカのうち6頭が平均717日後に死んだ。先月、バンドウイルカを死に至らせた蔚山の長生浦クジラ生態体験館は、2009年から10頭のイルカのうち、6頭が平均418日で斃死した。チェ・イェヨン環境運動連合・海委員会副委員長は「1日100キロメートルを遊泳するイルカを狭い水族館に閉じ込め、訓練を行い、ショーを行わせることを、生態感受性教育などとして覆い隠している」と話した。オ・イル環境運動連合・生態保全チーム長は「寿命30年のイルカをわずか4~5年で死に至らしめる水族館は、イルカにとっては死んでこそ自然に帰れる墓場だ」とし、「残ったクジラを全部海に戻し、水族館は海洋教育施設に転換すべきだ」と主張した。

パン・ジュンホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )



~転載以上~



★関連過去記事


日本から輸入のイルカ死ぬ…動物保護団体が糾弾=韓国



(対談)水族館でイルカを飼うということ 「イルカかわいい!」にとどまらない水族館との関わり方

こちらの記事の続きです。


(対談)水族館でイルカを飼うということ 日本のイルカ飼育は世界より何十年も遅れている




幻冬舎plusからです。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170227-00007214-gentosha-ent


「イルカかわいい!」にとどまらない水族館との関わり方<(対談)水族館でイルカを飼うということ>

2/27(月) 10:15配信


Mami(Podcast「バイリンガルニュース」MC)
川端 裕人

 様々な問題を抱える日本の水族館。狭いプールで何頭ものイルカを飼育していたりショー重視だったりと、イルカをひとつの個体群として考えたときに持続可能な環境になっていないという事実があります。


 後編では、水族館へ行く側の私たちがイルカの環境を守るためにできることは何なのかということを、動物園関係者のバイブル『動物園にできること』著者で、捕鯨船での取材経験もある作家の川端裕人さんに、バイリンガルニュースMamiが話を聞きにいきました。
 ※前編「日本のイルカ飼育は世界より何十年も遅れている」はこちら
(構成 兵藤育子 撮影 渡邊有紀)


イルカの飼育を取り巻く現状

 Mami 日本の水族館でのイルカの死亡数について教えて下さい。

 川端 水族館で飼われているハンドウイルカは300頭弱ですが、1割ほどが毎年死んでいます。そのなかには新生児や、外部から連れてこられたばかりの個体も入っていますが、20数頭から30頭くらいです。これは、21世紀に入って、日本動物園水族館協会(JAZA)が同じ形で統計を取るようになってから一貫した傾向です。

 Mami その数は自然界の死亡率と比較して多いのでしょうか? 

 川端 野生の群れの死亡率ってなかなかわからないんですよ。運良く長期観察できた野生の群れの事例から、それほど変わらないという人もいます。それで、自然界と変わらないから、飼育は問題ないとか。


 でも、今の動物園水族館の考え方では、自然界との比較が大事というよりは、その個体群がサステナブル(持続可能)かというのがポイントです。自然界でも、生まれて育つ数よりも、死ぬ数が多ければ、その個体群はいずれ消えますよね。そうならないなら、どこかで帳尻があっているんです。でも、日本の水族館のイルカをひとつのポピュレーションと見たときに、明らかに持続可能じゃないので。

 Mami 繁殖はどのくらい成功しているものなんですか? 

 川端 一桁の年もあれば、20頭近くの年もある。2015年ですと、13の繁殖事例のうち、年末(12月31日)まで生きていたのは5頭です。8頭は年内に死んでいて、これには流産や死産も入っています。1年目はすごく死亡する割合が高くて、2年目以降はよくなるみたいですね。生まれてもなかなか育たないのが問題なんですが、ちょっと時間間隔を長く見てると改善の方向にはあるようです。飼育されている個体の中で、水族館生まれのものの割合は、10年前は20頭くらいしかいなかったのに、去年の数字では40頭くらいに増えているので。

 Mami このペースで繁殖がうまくいけば、将来的に外から連れてこなくてもよくなるのでしょうか? 

 川端 その可能性はあります。ただし、日本のプールが狭いという大問題があって、狭いだけならともかく、ホールディングプールがないと出産間もないお母さんや、出産後の母子を置いておける余裕がないんですよね。ショーを重視しているところだと、一定期間ショーを休止しなければいけなくなるので、営業的にも敬遠されてしまうんです。

 Mami 1頭あたりのスペースの規定はあるんですか? 

 川端 日本にはないです。

 Mami 狭いところにたくさん入れても、罰則もない? 

 川端 日常的な動作するのに適切なスペースを確保する、という程度の記述が動物愛護法や関連する環境省告示のなかにあるけれども、具体的にはありません。JAZA(日本動物園水族館協会)にも、そういうスタンダードはないようです。

 Mami 個体あたりのスペースの現状はどうなっているんですか? 

 川端 日本の水族館の大きさを比較した調査をたまたま見ていたら、一番多いプールのサイズは600~700トン級のようです。小学校のプールが300トンくらいなので、その倍くらいのサイズでイルカを飼っていることが多いです。

 Mami そこに何頭くらい飼っているのでしょう。

 川端 場所にもよるけれども、5頭以上入れているところもあります。たしかに狭いので、イルカをよりよい環境で飼育したいと思っているトレーナーさんは、葛藤があると思います。

 Mami 規定を設けない行政の問題なのか、自主的にどうにかしようとしない経営側の問題なのか、それともこのことを問題視しない一般人の問題なのか……。

 川端 いろんな問題が重なっていますよね。一般人ができることとしては、公が運営に関わっているところであれば、市議会にかけ合うのが一番手っ取り早い気がします。でも、水族館の大部分は、民営です。

 Mami ロビイングの観点からいうと、議会でとりあげられるためには、まず国民が問題意識を持っていないと難しいですよね。

 川端 議員にとっても、自分のキャリアにプラスになるという判断がないと。

 Mami 日本でも一般の認知がもっと必要ですね。


VRの進化は動物園存続の脅威になる?

 川端 動物園側からすると、単にかわいいというだけの見られ方は不本意なんです。水族館は民間企業が多いから、かわいいでもなんでも来館してくれればそれでいいのかもしれないけれど、動物園は公共のお金で運営しているところが多いので。

 Mami 『プラネットアース』というBBCのドキュメンタリーがありますけど、いろんなところにカメラを仕掛けて、野生動物の臨場感のある映像を見せてくれるんです。

 あれを見ていると、動物園の必要性が薄れてくる気がして。動物園にいる動物は、捕まえて連れてきた時点で野生ではないわけで、檻に入った状態しか見られませんよね。テクノロジーが発達して、さらにリアルな映像が可能になったら、わざわざ動物を捕まえて檻に入れるような原始的なことは、必要なくなるかもしれない。

 川端 その可能性はあると思います。動物園に行くと動物と目が合ったり、においがしたりして、五感で存在を認識できるというのはその通りかもしれないけれど、人間ってバーチャルリアリティで、わりと簡単に「実感」を得ることがあるんですよね。

 Mami 前にVRでクジラと深海で出会うゲームをやったことがあるのですが、クジラと目が合ったとき、偽物だとわかっているのに普通に感動してしまいました。現段階の技術でこれなら、本当に目の前で見ている感じを再現できるようになったら、動物にストレスを与えたり彼らの人生を台無しにしてまでリアルを体感しなくてもいいのかなって。

 川端 正しいかどうかはさておき、それでいいやと思う人はたくさん出てくるでしょう。自分もそれで満足しそうなくらい騙されやすいですし。“virtual”は日本語で「仮想」と訳されることが多いけれど、「実質的に同じ」という意味ですよね。

 Mami VRの中で体験した記憶って、あとで思い返したときに実際の行動の記憶とあまり変わらないんですよね。クジラと出会ったり、ゾンビと戦ったりしたことが、経験のひとつとして脳内に残る。経験という意味では、VRの技術が向上すればするほど、現実との差ってなくなっていくのかもしれない。

 川端 動物園の存在意義において、近い将来、VRはライバルになると思いますよ。生き物が目の前にいる実感を、VRは簡単に与えてくれますから。

 Mami 昔、動物園でガラス越しにトラを見たとき、こんなに近くで見られるんだ! と感動しました。VRだとガラスの代わりにスクリーン越しになり、トラに触れるわけではないけど、今だって実際触れられるわけではないですもんね。

 川端 極端な話、VRを見ながら、ごわごわした毛皮みたいなものを触ったら、本物だと思ってしまうかもしれない。ハコスコを開発した脳科学者の藤井直敬さんが、ジョークの実験で男性に女性の映像を見せながら、太ももに手を導くようなシチュエーションで大根を触らせたら、すごく興奮したそうです(笑)。

 Mami 人間の脳って、視覚と聴覚がジャックされるとすぐに騙されますよね。

 川端 VRの進化は、動物園の最後の砦を崩してしまうかもしれない。そうなったときの動物園の最終業務は、今いる動物たちを飼いきることでしょう。それでいいのかどうか、これから議論になるところだと思います。

 Mami 人類の歴史を見ると、動物に対するエンパシーがどんどん増えていると思います。

 年配の方々と話したり、昔の小説を読んでいると、犬猫を蹴っ飛ばした、なんて話がカジュアルに出てきたりしますよね。今だと考えられない。そこから現在までたった数十年での変化を考えても、野生の動物の自由を奪って人間の観賞用に檻に閉じ込めておく、というのが娯楽として残り続けるのは想像できなくて。動物園や水族館が将来的にどうなるかわからないけど、少なくとも議論することは大事だと思います。

水族館へ行く側の人ができること
 川端 水族館に関して、僕が若干希望を抱いているのは、イルカの医療や繁殖研究に関するシンポジウムが、1月に大分で行われたことです。自治体と大学、研究者が連携した取り組みは初めてのことで、繁殖をきちんとやっていこうという旗揚げなのかなと期待しています。2月には、京都大学が水族館と連携したイルカ関連の会議がありました。
http://www.wildlife-science.org/img/news/561/2017-02-24-v2.pdf

 Mami こういう社会問題の話で重要なのは、悪いことにフォーカスするばかりでなく、いい取り組みがあったらみんなで盛大に褒めることですよね。

 川端 今まで大学と一緒に何かをすることすらなかったし、水族館は秘密主義なところがあったのですが、お互いに共有しようとする流れが出てきています。

 Mami 水族館へ行く側も、「かわいい」以上の視点が必要ですね。

 川端 そうあってほしいです。身近な水族館でイルカの調子が悪くてもショーを優先しているようなところや、イルカが死にすぎているようなところがあったら、議論をするべきでしょう。

 Mami どういうふうにイルカを入れているのか、水族館に問い合わせてみるのもいいかもしれない。水族館側にも、こちらが関心を持っていることが伝わりますし。

 川端 水族館って、民営のところが多くて、なにはともあれ、顧客の動向には敏感です。イルカ飼育が嫌いな人たちって、もともとお客さんではないので、いくら批判しても響かないんですよね。だから、むしろ、今、水族館に行く人たちの方が影響力があるかもしれない。イルカショーを見た後で、イルカの飼育について心配しているとか、完璧なショーでなくていいからもっと余裕のあるスケジュールにしてくれた方が安心できるとか、アンケートカードに書いてくれればいいと思います。

 Mami 確かに、イルカに無理させてまで絶対にイルカショーを見たい! という人のほうが少ないはず。そういうふうに意識している人の声が、数件あるだけでも違う気がします。ひとりひとりが出来ることも実はたくさんありますよね。ありがとうございます。


■Mami(Podcast「バイリンガルニュース」MC)
1986年東京都生まれ。帰国子女ではなく、東京育ちのバイリンガル。2013年5月から、友人のMichaelと2人で英会話Podcast「バイリンガルニュース」を始める。世界中から2人がピックアップしたニュースを、ユニークなバイリンガル会話方式で無料配信しPodcast1位の大人気番組に!  いつも阿佐ヶ谷のMichael宅で収録しており、独特のゆるーい雰囲気が魅力(放送中に荷物が届いたり、くしゃみしたり)。各エピソードの文字起こしテキストアプリも評判! 

ウェブアスタで相談エッセイ「バイリンガルニュースMamiのお悩みシェア」を連載中。http://www.webasta.jp/serial/onayami-share/

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■川端 裕人
1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。普段は小説書き。生き物好きで、宇宙好きで、サイエンス好き。東京大学・教養学科卒業後、日本テレビに勤務して8年で退社。コロンビア大学ジャーナリズムスクールに籍を置いたりしつつ、文筆活動を本格化する。
デビュー小説『夏のロケット』(文春文庫)は元祖民間ロケット開発物語として、ノンフィクション『動物園にできること』(文春文庫)は動物園入門書として、今も読まれている。目下、1年の3分の1は、旅の空。主な作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、アニメ化された『銀河のワールドカップ』(集英社文庫)、『声のお仕事』(文藝春秋)、『青い海の宇宙の港 春夏篇・秋冬篇』(早川書房)など。
メルマガ「川端裕人の秘密基地からハッシン!」(http://yakan-hiko.com/kawabata.html)



(対談)水族館でイルカを飼うということ 日本のイルカ飼育は世界より何十年も遅れている

幻冬舎plusからです。

http://www.gentosha.jp/articles/-/7213?utm_source=zasshi.news.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedlink


(対談)水族館でイルカを飼うということ

日本のイルカ飼育は世界より何十年も遅れている

2017.02.22


Mami/川端 裕人


マスメディアではあまり話題にのぼりませんが、いま日本の水族館は様々な問題を抱えています。


 イルカやシャチの飼育の是非から、そもそもの水族館の存在意義まで。水族館を取り巻く状況を理解し、傍観者になるのではなく私たち一人一人ができることを考えるため、動物園関係者のバイブル『
動物園にできること』著者で、捕鯨船での取材経験もある作家の川端裕人さんに、バイリンガルニュース Mamiが話を聞きにいきました。
(構成 兵藤育子 撮影 渡邊有紀)

  

動物園でゴリラは“備品扱い”だった!?

Mami 初歩的な質問ですが、まず動物園や水族館を取り巻く問題について教えていただけますでしょうか。


川端 動物園や水族館は野生の生き物を見せるところですが、私たち人間にはエキゾチックな動物を見たい欲望があるから、大昔からそういう場所があるわけです。
しかし単に見たい欲求だけで野生動物を連れてくるのではなく、しかるべき飼育をしようという考え方が出てきました。

 たとえばゴリラは大人になると扱いにくいので、赤ちゃんや子どもを連れてきていたんです。かつてアメリカの動物園では、小さい子だけを連れてくるために群れをすべて撃ち殺すようなことが、わりと普通に行われていたらしいんですが、さすがにそれはよろしくない。できるだけ動物に負担をかけないようにしなければいけない、という論調になったのが1970年代以降です。

 これは環境保護が注目される時期と一致していて、動物園が大きな役割を果たせるかもしれないという期待がありました。それは今も続いていて、少なくとも野生に負担をかけないというのが、動物園が守るべきお約束、みたいなかんじになっています。

 動物園で飼われている個体群を、生息地にいる野生のものとは別の群れに見立てて、そのなかで回していくことになっています。飼育下でうまくいけば、やがて野生に戻せるかもしれないと考える人も多くいました。そこまでいかなくても、ゴリラの魅力を知り、同時に、生息地での窮状を知る場になればよいというわけです。


Mami 日本の場合はどうなのでしょう。


川端 日本の多くの動物園はもともと自治体の管轄で、動物って備品扱いだったんです。ゴリラはとても高価な「備品」なわけですね。そうすると、不都合なのは、たとえば、ゴリラが群れ社会で繁殖しやすいことがわかっていても、1頭飼いで繁殖できないゴリラをよその動物園に預けることができなかったんです。

 でも、今やっとそれが変わってきて、繁殖のために所有権を移さずに動物を移動するブリーディングローンが当たり前になってきました。上野動物園ではいろんな動物園から来たゴリラが群れを作って、繁殖も始めています。とはいえ、欧米に比べてスタートが遅く、日本全体ではゴリラの数はもう取り返しがつかないところまで減っています。


Mami 動物園で繁殖させることによって、野生から連れてこなくてもよくなる、というのは大変重要ですよね。動物園の動物は、園内で一生を終えなければいけない。その犠牲を強いるぶん、クオリティ・オブ・ライフを確保する必要があるのではないでしょうか。


川端 まさにその通りで、QOLが確保されないと繁殖までいかないので、このふたつは重なる部分が多いんです。繁殖するというのは、きちんと飼育できている証だということで、繁殖に情熱を傾ける飼育員が多かったのですが、今は逆に繁殖が成功しすぎると制限がかかります。同じ親だけが子どもを作るのではなく、別の個体に繁殖してもらったほうが、遺伝的な多様性が残るので。でも、種によっては、赤ちゃんができると、お母さんは手間がかかって、常同行動や異常行動をとらなくなることもあるんですよ。


Mami 同じ場所を何度もグルグルと行き来したり、食べ物を吐き戻したりしてしまう行為ですよね。限られたスペースに何年も入れられて、することがなにもないうえに、狩りなどをしなくても自動で食べ物が出てきてしまう。行動が制限された日々が続くわけですから、当然ストレスが溜まりますよね。


川端 その種にとって自然な行動をできるだけ引き出そうとする動きが、90年代くらいから始まっています。ぼくが見てきた範囲では、まず飼育員による自発的な動きから始まっているんですが、今は広く動物園に受け入れられています。たとえばAZA(アメリカ動物園水族館協会)に入る条件として、環境エンリッチメント(environmental enrichment=動物福祉の立場から、飼育動物の幸福な暮らしを実現するための具体的な方策)を掲げていることや、専従の職員を雇っていることなどがあります。日本でも環境エンリッチメントという言葉を知っている人が増えてきました。


日本に社会活動家が少ないわけ

Mami 動物園は必要か否かという議論の際に必ず出てくるのが、子どもが動物を見る機会を作ることによって、動物や環境を大事にしなければいけない気持ちが芽生えるという意見ですよね。

でもたとえば毛が抜けて禿げちゃってる動物が、同じところを行ったり来たりしているのを見てもリスペクトは生まれにくいし、それ以前に動物は檻に入っているものというイメージがついてしまうリスクもあります。

川端 かわいそうなライオンやゾウという悲しいイメージが残ってしまうけれども、逆に近くで見られるからいいという人もいるから、動物園は今日も続いてきたわけです。その辺りの感受性は、人によってかなり違うと思います。でも、現場の飼育員で、それでいいと思っている人はまずいないのですね。


Mami 私も子どものときに行った動物園はあんなに楽しかったのに、今はもう昔のように素直に楽しめないんです。同じようなことを感じている人も結構いると思うのですが、欧米だとそれがデモやロビイングなどの社会活動につながって、動物園が現状のままでは運営できないところまで追い込まれたりしますよね。水族館も同じで、シャチのショーをやめざるを得なくなったりする。日本ではそういう活動が大々的にはなかなか行われていない気がします。


川端 やっぱり動物園・水族館の寛容派が多いからではないでしょうか。
例えばゴリラを今でも野生で連れてきていたりしたら、それは受け入れられないという人多いと思います。日本には市民活動のアドボケート(advocate=主唱者)というポジションがあまりないですよね。


Mami 今回のアメリカ大統領選挙以降、欧米社会は国民総社会活動家という感じになってきているように見えます。今はSNSがあるから、政治や社会に対していくらでも声をあげられるけど、日本の場合、社会活動家と普通の人というふうに、はっきり線引きがありますよね。自分ごと化されていないというか、自分たちで変えられるかもしれないという希望が薄い。


川端 英語で“make a difference”という言葉があるじゃないですか。サッカー選手がインタビューで言ったりすると、「違いを作ることができた」と直訳されがちなのですが、僕はそこに“a”がついているのが好きなんです。ちょっぴりの違いを誰でも生み出すことができる、という意味があの表現に込められていると思って。


Mami 日本人にやる気がないわけではなく、歴史的なことも関係していると思います。アメリカはイギリスへの反逆から生まれた国だし、フランスも国王と女王を処刑して市民が勝った歴史がある。そういう歴史を持つ国民は、自分たちが行動を起こせば変えられる自信が根づいているのではないでしょうか。


川端 おっしゃる通りだと思います。そうやって国を作った歴史が、教育のなかで語られているのは大事ですよね。変えられるという自信が、教育レベルでインストールされているわけですから。


水族館でイルカやシャチを飼うのは悪いこと?

川端 ゴリラの飼育について話しましたが、今動物園で悩ましいのはゾウです。あと、水族館のイルカですね。

 イルカについては、世界中でたくさん飼育されているのは、ハンドウイルカ(またはバンドウイルカ)です。日本では野生から簡単に供給できて、ある意味、経営上楽な環境だったので、飼育を向上させようとする流れになりにくかった背景があります。


 単純に飼育のレベルでいうと、アメリカでは、80年代以降は、野生から1頭も連れてこないで運営できているんです。それなのに、日本では、毎年、数十頭単位で野生から連れてきていました。日本の水族館って、魚類の飼育も展示も世界屈指のレベルなんですが、イルカについては完全に何十年も遅れています。


Mami 死んだらまた野生の新しいのを入れればいいや、ということですか?


川端 まさにその通り。そもそも日本人の感覚として、魚は食べるものだし、消費していいものというイメージがあります。それと似た感覚でイルカを飼っていたのかもしれません。


Mami こういう問題について考えるとき、なぜイルカをひいきするのか、じゃあ牛や豚はどうなるのか、みたいな疑問がよく出ますよね。個人的には苦しむ種が少なければ少ないほどいいと思う。全部の種を一気に守るのは現実的ではないので、そこで何の種を優先していくかは好みから入ってもいいと思っています。イルカが好きだから苦しむイルカを減らしたい、とか。ほかに苦しんでいる種がいるからイルカも苦しんでOK、ということではないですよね。


川端 しかも日本から見ていると、アニマルライツの人が言っていることと、アニマルウェルフェア(動物福祉)の人が言っていることは区別がつきにくい。


Mami 欧米だと全然違うのに。アニマルウェルフェアは、水族館や動物園の存在意義自体は認めた上で、そのなかで動物の幸福やQOLを確保しなくちゃいけないという考え方だけど、アニマルライツは水族館・動物園の存在意義をまず認めていません。北米では、シャチがとても問題になりますよね。あんなに大きい生き物をこんなに小さなタンクに押し込めるとは、というトーンでメディアにしょっちゅう取り上げられて、一般の認知も高い。そのため、今飼っている分はともかく、今後新しく追加することはありえない、という風潮ができあがっています。


川端 日本で、今、シャチがいるのは、鴨川シーワールドと、名古屋港水族館です。名古屋港の場合、シャチホコのイメージなのか、街のアイデンティティとしてシャチがいることが、とても大切なことのようですね。国外から連れてくるのが今は非常に難しくなってしまったので、一番新しいのは、鴨川シーワールドで繁殖したものを入れています。
(※1月27日のニュースによると、鴨川シーワールドから購入する方針を決めたそうです 
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017012790085444.html


 僕はMamiさんより寛容な立場で、水族館でイルカやシャチを飼って何が悪いんだろう、とも思います。シャチも北米では、90年代以降は野生から1頭も入れていなくて、人工授精に頼る方向ではあるものの、繁殖技術は確立しています。日本で飼育するならそこに追いつくべきなんですが、飼育頭数が少ないから長期的なビジョンは描きにくいです。かりに、飼育や繁殖で北米水準を実現できても、欧米では飼育自体が悪というふうに社会が変わりつつあります。シャチを飼い続けるだけで、国際的な非難を呼び込みかねないので、リスクマネジメントの観点としても、かなりの覚悟がいるんですよね。


Mami もともと飼うリスクのある動物で、さらに一般の意識としても飼うことにマイナスイメージがある場合、飼わないほうがいいというのは企業の選択としては自然ですよね。

川端 施設として明らかに飼えないのは論外ですが、そもそも種として飼ってはいけないのではないかというのが、北米での最近の論調です。そう考える顧客が増えたら、企業は違う選択をしなきゃならないでしょうね。


Mami シャチを飼っているなんて信じられない、という風潮が北米でできあがっているのは、社会活動家が何年も声を大にしてきた結果だと思います。


韓国環境団体、「日本から輸入したイルカ斃死」責任者告発へ

中央日報日本語版からです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170222-00000001-cnippou-kr


韓国環境団体、「日本から輸入したイルカ斃死」責任者告発へ

2/22(水) 6:28配信


韓国蔚山(ウルサン)南区庁が日本から輸入したイルカが5日で死んだこととに関連し、環境団体が責任者の告発を示唆した。

複数の環境団体で構成された「蔚山南区庁イルカ輸入反対共同行動」側は20日、「ソ・ドンウク南区庁長とキム・ソクド長生浦(チャンセンポ)クジラ博物館長、ソ・ジンソク蔚山広域市南区都市管理公団理事長3人を動物保護法と野生生物保護および管理に関する法律違反容疑で21日に告発する」とその立場を明らかにした。

団体は「過去に体験館で死んだイルカは狭い水槽に閉じ込められて病気や感染などで死んだが、今回死んだイルカの死因は外部からの衝撃による血胸(胸腔内に血液がたまった状態)」としながら「イルカの管理・監督を引き受けた蔚山南区庁の直接的な過失が斃死を誘発した」と伝えた。

これに先立ち、蔚山南区の長生浦クジラ生態体験館では、9日に日本から輸入したイルカ2頭中1頭が輸入から5日で死んだ。クジラ生態体験館は過去にも5頭のイルカが死んだ事例がある。



~転載以上~



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Author:春
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福島原発避難区域の被災動物、殺処分、毛皮、動物実験、海外の動物事情など、国内外の動物の現状について情報をアップしています。

人間の都合で虐げられている動物たちのことを1人でも多くの人に知ってほしい、声を上げてほしい、そして動物達へのやさしさの輪が広がればと思います。

リンク・転載は構いませんが、その際は必ずどこからのものかわかるよう、ブログ記事URLを明記していただきますようお願いいたします。

17才の女王様猫と4才児の母。

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